保護者のための進学情報 〜進学の基礎知識⑤〜

出典元:ライオン企画刊『保護者のための大学進学ガイド2021』より


どうなる!大学入試

昨年度から「大学入学共通テスト」をはじめ、大学入試が変わりました。 何がどう変わったのか、不安に思う高校生や保護者の方も多いことでしょう。 そこに追い打ちをかけるように「新型コロナウイルス感染症」の影響も加わりました。 いったい2022年度の大学入試はどうなるのでしょうか。


 大学入試改革の一環で、2021年1月からはセンター試験に変わって大学入学共通テスト(以降、共通テスト)が始まりました。また入試の名称が変わり、従来のAO入試は総合型選抜、推薦入試は学校推薦型選抜、一般入試は一般選抜になりました。

 名称が変わるだけではなく、試験の内容もスケジュールも見直されました。総合型選抜と学校推薦型選抜では、小論文や口頭試問、教科・科目のテストなど、学力測定が必須になりました。さらに、総合型選抜の出願受付が8月(AO入試)から9月になり、これまでは定められていなかった合格発表日が「11月以降」になりました。学校推薦型選抜の出願受付は従来の推薦入試と同様に11月のままですが、これまで定められていなかった合格発表日が「12月以降」になりました。

 なお、共通テストは改革の目玉であった「数学と英語での記述式問題の導入」と「英語の民間資格・検定試験の併用」がともに見送られ、これまでのセンター試験とほとんど変わらないカタチで実施されることになりました。ただし平均点6割が目途だったセンター試験に対し、共通テストは5割になると想定されていましたが、2021年度の結果は前年並みとなりました。


 これまでのAO入試や推薦入試では、定員割れに苦しむ一部の私立大学などが、まったく学力測定を行わずに合格者を輩出していましたが、このような不適切な入試をやめさせることが目的です。

 スケジュールの後ろ倒しも、早めに学生を確保したい一部の私立大学などが、早ければ8〜9月に合格発表を行っていたことが問題視されたためです。あまりに早く合格してしまうと、一般入試などを受けようと考えている他の生徒たちに悪影響を与える、との声が高校から上がっていました。

 目まぐるしく変化する現代社会では、今までの考え方や方法では対応できなくなっています。たとえば、今では当たり前となっているスマートフォンがこれほどまでに普及するとはほとんどの人が予想していなかったことでしょう。ITの急速な発達に伴って社会や仕事のあり方が変わり、かつては存在しなかった職業もたくさん登場しました。また急速なグローバル化の波、少子高齢社会の到来が押し寄せています。今回の新型コロナウイルス感染症の拡大もしかり。

 先行きの不透明な時代では、「自ら問題を発見し、他者と協力して解決していくための資質や能力を育み教育が必要である」という考え方がベースにあります。

 新しい入試区分では「学力の三要素(知識・技能、思考力・判断力・表現力等、主体的に学習に取り組む態度等)」がより重視され、どの入試区分でもバランス良く評価する入試に変わります。

 一般選抜は学科試験だけではなく、志望理由や高校での取り組みなどの主体性を積極的に評価し、また総合型選抜や学校推薦型選抜では学力を測る学科試験が必ず導入されます。今までよりも課される試験(科目)が増える大学が多くなります。ホームページや募集要項等でしっかり確認することが大切です。


今回は変わる大学入試について紹介しました。次回は「試験内容」について配信します。


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